漢字「突」は、穴から飛び出す犬

今日は「犬」にまつわる、漢字のお話です。

「突」は「穴」と「大」で出来ています。しかし、「大」の部分は元々「犬」でした。1946年の当用漢字表では「(「突」の下が「犬」)」が選ばれましたが、3年後の当用漢字字体表で簡略化した字体として「突」が採用されたのです。

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「突」は「穴」から「犬」が急に飛び出してくるさまを表していると言われています。「突然」「突如」のように「出し抜けに」といった意味はここからきています。「衝突」の「突」は「強く向こうに押すこと」、「突進」「突入」の「突」は「勢いよく進むこと」といった具合に意味が広がっていきました。

「穴」は「かまどの煙を出すところ」という説もあります。犬のいけにえをまつって、かまどのおはらいをしている場面だといいます。「突出」「突起」など「出っ張っている」「とがっている」などの意味は、煙突からの連想なのかもしれません。

(森本類、監修・笹原宏之早稲田大学教授)
朝日新聞DIGITALより